2025年12月18日に行われたブーンルエン・ファヨン選手(タイ)との対戦で、見事1ラウンドでのKO勝利。プロボクサーとしての戦績を6戦6勝6KOとし、まさに破竹の勢いで勝利を積み重ねているのが坂井優太選手だ。
幼少期の夢は仮面ライダーなどのヒーローになること。そんな坂井選手が、自分の人生をボクシング一筋でやっていこうと思い始めたのは、高校生の頃。ボクシングの大会で優勝を重ねたことがきっかけだった。
高校時代はアマチュアボクシングの世界で6冠を達成。現在20歳の坂井選手は、高校一年生の時に黒星を喫して以来、およそ5年間にわたりプロ、アマを通して負け知らず。常に勝者としてリングに立ち続けてきた。見た目こそ仮面ライダーとは異なるが、まさにヒーローのような存在として、多くのボクシングファンを魅了する。

坂井選手は、なぜ、ここまで勝ち続けられるのだろうか? その理由について、自身が一番の強みだと語るのがスピードだ。
「フットワークの俊敏さも含めたスピードは自分の強みですね。最近はパワーもついてきて、パンチの質や精度もあがってきたので、クリーンヒットの回数も増えてきたと感じます」
ボクシングはただ力を込めてパンチを打てばいいわけではなく、速くて強いパンチが必要だと話す坂井選手。足のステップを使った瞬発力を活かして力を出せるように、フィジカルの強化を課題に掲げ、さまざまなトレーニングを行っている。

「フィジカルトレーニングは以前から行っていましたが、試合前になるとスパーリングの量も増えてくるため、普段通りできなくなることも多かったんです。でも2025年12月に行われたブーンルエン・ファヨン選手との試合に向けたトレーニングでは、月水金の三日間は必ずフィジカルを鍛えると決めて、それをやり抜くことができました」
その結果、1回しかできなかった懸垂が30回までできるようになり、30kgが限界だったベンチプレスは、55kgまで持ち上げられるようになるなど、フィジカル的に大きな成長を遂げた。
「ボクサーとしては、筋トレをやりすぎてしまうと筋肉が大きくなりすぎて体重も増えてしまうので、そのあたりにも気をつけながら、バーベルを適度な重量にとどめつつ、持ち上げる回数を増やすことで身体を鍛えるようにしています」
その成果は如実に現れ、筋肉がついたことで体も大きくなり、自分でも特に上半身の変化を実感している。
「ただ、ボクシングは体のバランスも大事なので、上半身と同じくらい下半身も鍛えることを意識して、今回の試合前はこれまで以上に走り込みにも力を入れました」
中でも、トレーニング当日は朝から憂鬱な気分になると話すほど過酷なメニューが、インターバルと呼ばれるものだ。ボクシングの1ラウンドと同じ3分間ダッシュし続けて1分休憩。それを試合と同様に8ラウンド分行う。
「ボクシングは試合の流れがあるスポーツなので、全力で3分走ったら、次の3分は少しペースを落とすなど、試合を意識した形で行っています。自分は特に動くタイプなので、インターバルによってスタミナを強化することは必要不可欠ですね」

高校卒業後、プロボクサーに転向してからは、大橋ボクシングジムの大橋秀行会長のおかげで、四六時中ボクシングができる環境を手に入れたと語る坂井選手。束の間の休息時間に楽しんでいるのがお笑いの番組だ。
「ガキの使い(※ダウンタウンのガキの使いやあらへんで)が好きで、よく観ています。芸人さんでは千鳥さんが好きなので相席食堂を観たり、あとは水ダウ(※水曜日のダウンタウン)の名探偵津田も面白いですよね(笑)」
よく聴く音楽はONE OK ROCKの曲で、シンプルにカッコイイところが好きな理由だ。
「練習の時に流したり、憂鬱な気分の時にやる気を出すために聴いたりもします。好きな曲はありすぎてひとつに絞れないですね。よく横浜でコンサートを行っているので、いつか観に行ってみたいです」
そして、練習後の焼肉は、特に一番好きな時間だと話す。
「タンとカルビを中心に、時々ハラミを頼みます。最高で肉は7人前、ライスは3杯くらい食べますが、食べる前か翌日の練習を必死にやれば、すぐにカロリーを消費するので、たくさん食べても問題ありません。〆はデザートを食べることが多くて、メニューにパフェがある時は、だいたい頼みます。でも、本当は洋菓子よりも和菓子のほうが好きなので、焼肉屋のデザートメニューに羊羹や大福を加えてもらえたらめっちゃ嬉しいです」

大橋ボクシングジムでは、所属する選手が集まって焼肉を食べる“肉会”もよく行われている。
「みんなで集まって他愛のない話をするだけなのですが、やっぱりほかの選手との距離が縮まりますし、話してみたら印象が変わって新しい発見があったり。選手同士が仲良くなることでジムでの居心地もよくなりますね」
井上尚弥選手を筆頭にボクシング界の精鋭たちが集うジムだからこそ、困ったことがあれば、相談できるところが大橋ボクシングジムの強みでもある。
「ジムの仲間からは減量について教えてもらうことが多いですね。特に森且貴選手には体重の落とし方やカロリー計算のやり方などを教えてもらいました。減量はボクシングにおける重要性でいえば、半分以上は占めていると思いますし、うまくいくか、いかないかで試合の内容も変わってくると思うので、減量の情報交換ができることはありがたいです」

減量同様にメンタルコントロールも勝利のために重要な要素だろう。その点は、練習メニューを決めているのが兵庫県で暮らす父親であり、他人には話せないことでも気を使わずに話せる父親がサポートしてくれているからこそ、安心して練習に打ち込める。
「父親は僕の試合が近づいてきたら、横浜にやってきて泊まり込みでサポートしてくれます。いつも近くにいるわけではないので、ちょうどいい距離感ができているなと思いますね。父親からは掃除をしろとよく言われます。そういうところがボクシングとつながっているからと。あとは謙虚でいることを忘れるなとも。勘違いして偉そうにし始めたらおまえは弱くなると。この気持ちは今後もずっと大切にしていきたいです」
ボクシングの魅力について、坂井選手は、どんな境遇であっても、拳ひとつでその状況をひっくり返せることだと話す。
「階級が分かれていることもあり、誰にでも平等なスポーツだと思いますし、野球やサッカーと違ってどこでも練習できますから」
今後の目標は、2026年にタイトルマッチを行って、日本やアジアなどの地域タイトルを取ること。そして、2027年に世界タイトルの獲得を目指す。
「世界チャンピオンになったとしても、やっとスタートラインに立てたみたいなところがあって、そこからが大事だと思っています。ボクサーとしては人気も強さも兼ね備えたチャンピオンになりたいですね。だからたくさん応援してもらえると嬉しいです」

注目する選手は、バムことジェシー・ロドリゲス。ジェシー選手とは階級的に今後対戦する可能性がゼロではない。
「彼は接近戦になってもパンチをもらうことなく、自分だけ当てて倒すところが魅力です。しっかり考えた上で、決まりごとを徹底的に守ってやっているんだと思います。ボクシングは一瞬一瞬のスポーツなので、その時の感覚だけであれだけうまくいくほど甘い世界ではないんです。予測して戦っているんだと思いますが、その精度がめちゃくちゃ高いですね」
憧れの選手は、ボクシング史上初となる3階級で4団体統一王者となり、2025年12月に現役引退を発表したテレンス・クロフォードと、プロ、アマを通して生涯無敗のまま引退したリカルド・ロペスだ。
「テレンス・クロフォードは、健康のまま引退するという、ボクサーの誰もが夢見ることをやり遂げた選手です。僕の理想は、怪我もなく健康のまま第二の人生を迎えることなので。リカルド・ロペスは一度お会いしたことがあるのですが、とても紳士的な方で、僕が挨拶したら丁寧に返してくれました。態度や雰囲気も含めて、人としてちゃんとされているところに憧れますね」

ボクシングにおけるプロとアマチュアの違いについて訊ねると、プロは一戦一戦に人生をかけているところだと話す。
「アマチュアは試合数も多いですし、その分チャンスもたくさん巡ってくるので、そのうちどこかで結果を出せばいいという感覚でやっていたように思います。でもプロは一試合の価値が全然違います。勝つか負けるかによって、その後の人生もガラリと変わってきますし、僕は特に全勝を継続していることもあり、一度負けてしまったら僕自身のボクサーとしての価値が落ちてしまうと思うので、毎回絶対勝たなければという気持ちで、ハラハラしながら試合にのぞんでいます」
高校一年時の敗戦以降、どんな相手と戦っても勝ち続けてきた坂井選手。この先、この連勝はどこまで続くのか? 大橋ボクシングジムの猛者たちと切磋琢磨しながら、近い将来、自身がスタートラインだと話す世界王座に輝いた時、坂井優太は無敵のヒーローとして日本中を熱狂させるに違いない。
バンタム級黄金時代の継承者として、伝説の序章となる日本・アジアの地域タイトル獲得に向けて、日々、厳しい練習を積み重ねている坂井選手。自身の夢とファンの期待を背負ったその背中を、全力で応援していきたい。

坂井優太(さかい・ゆうた)
※2026年2月現在

本プロジェクトは、厳しい戦いに挑み続ける彼らの活動資金を募るクラウドファンディングプロジェクトです。
リターンには、選手や大橋ジムが所在する横浜市の魅力を感じていただける特別な特典をご用意。
また、支援いただく皆様の総人数が目標に達するごとに、限定コンテンツを公開します。

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